第3回 学校保健実践研究会
教職課程運営委員会
平成18年3月25日(土)に第3回学校保健実践研究会が八王子キャンパスにて開催されました。学校教育の現場で養護教諭として活躍する卒業生の卒後学習 の場とするとともに、教職を目指す在学生と地域の現職教諭とのネットワーキングの場となることを目指して本会が企画されてから3年目を迎えることになりま した。
今回は、基調講演として本学の救命救急士課程の和田貴子教授に「教育現場における災害医療」と題してご講演いただきました。学校現場で災害時の対応を想定 することは日頃避けて通りがちな問題でありますが、子供の命を救うということでは最も根源的な備えでもあり「災害等の非常事態にあなたに何ができるの か?」という問いかけから始まった和田教授のお話に、参加者もハッとさせられながらその重要さを再認識させられました。もう一つの基調講演として埼玉県立 大学の櫻田淳教授の「これからの”Yogo Teacher”に期待すること」では、先生の豊富な現場の養護教諭としての体験から具体的な養護教諭の実践活動が語られるとともに、世界へ発信する Yogo Teacherとして日本の養護教諭の独自性について、その意義を再確認させられました。
後半の実践報告と討論では、2名の卒業生より養護学校での実 践や学校組織での一人職としての保健室経営の難しさなどが実体験を交えて語られ、現職の卒業生や将来の志を持つ在学生などから活発な質疑と討論が行われま した。
終了後に隣接教室にて、カジュアルなティーパーティが準備され、多数の参加者が情報交換や旧交を温める場として楽しく歓談していただき、盛況のうちに本会を終えることができました。
本会は保健学部教職課程運営委員会が企画運営しておりますが、本会開催に際しては杏会、杏里会の多大なご支援をいただきました。末筆ながらご協力に心から感謝いたします。
研究会参加者の声
学校保健実践研究会に参加して
都内の知的障害養護学校に勤務して3年が経ちました。これまでを振り返ってみて、日々の業務に追われ、自己評価をする暇がなかったように思います。今回、 第3回学校保健実践研究会で発表させていただき、知的障害養護学校の養護教諭の仕事を整理し、発表することで、日々どのような仕事をしているのか再確認で きると同時に、新たな課題を発見することができました。
養護教諭は、学校に一人、多くて二人です。養護教諭の仕事は、他の教諭から見えにくい業務が多いように感じますが、仕事量はたくさんあり、養護教諭一人で 抱えがちです。私も実際そうでした。自分の力で何とかしたい、と思ったこともありました。しかし、今は違います。現在の養護学校で、組織で学校保健活動を 啓発していくことを学びました。また、組織で動くことにより、養護教諭の仕事が他から見えやすくなっている様に感じています。
以前養護教諭の研究大会で、こういう話を聞いたことがあります。養護教諭は、能力の差が大きいというのです。一般教員は、切磋琢磨する教諭がいます。養護 教諭は、学校に一人です。常に新しい知識を吸収しながら、養護教諭の資質を高め、それを身に付けるためにも充実した研修は必要です。どんどん研修に参加 し、多くのことを学ぶことも大事な仕事だと思います。そういう意味でも、今回の研究会はその役を担っていると感じています。
今回の発表で、私は養護学校の現状を共通理解できればと思っていました。校種によって異なりますが、熱心な養護教諭、学生を目の当たりにして自分もがんば らなければと思いました。最後になりましたが、今回の発表に企画運営している諸先生方をはじめ、実行委員の方々に感謝します。また、良い養護教諭を育成し 続ける杏林大学を誇りに思っています。これからも、母校の養護教諭のネットワークを大事に日々の仕事に邁進していきたいです。
基調講演
- 「教育現場における災害医療」:和田貴子教授(本学救急医学研究室)
- 「これからの”Yogo Teacher”に期待すること」:櫻田淳教授(埼玉県立大学)
実践報告
- 「知的養護学校における執務について
~児童生徒の健康管理・保健教育・組織活動など~」:塩満史子教諭(都立小金井養護学校)