第1回 救急救命士卒後教育報告

杏林大学保健学部救急救命士課程 和田貴子

平成22年3月12日に救急救命士卒後教育の講習会が開催されました。
今回、この講習会を企画した理由は以下の通りです。すなわち、現在、救急救命士は救急需要の増加、日々変化している医療ニーズの対応等により処置拡大や医療の高度化が求められております。しかし、卒後の救急医療教育の機会が少ないという卒業生からの声がきかれたため、杏林大学救急救命士課程の卒業生を対象に、新しい医療の知識やスキルを学習する機会を企画しました。
第1回救急救命士卒後教育は、平成21年4月に救急救命士がエピペンの使用を認められたことに対する教育、実技の講習を行いました。
当日は、救急救命士課程1期生の尾崎七恵(旧姓:若林七恵さん)氏と饗場幹朗氏を始め、救急救命士課程1~6期生と在学生を含めて20数名が参加してくれました。講習会は本学4階にある救急救命学科のシミュレーション実習室において、島崎栄二教授がスライド及びDVDを使用して講義を行なったあと、練習用のエピペンを使用して全員がエピペンの投与方法を学びました。終了後は、同じ場所で教員を含め懇親会を開催しましたが、すでに消防官として第一線で活躍している卒業生は懐かしそうに、また消防官を目指している在学生は少し照れながら、互いに自己紹介をしつつ和気藹々と情報交換を行ないました。同期生同士の横のつながりはあるものの、上級生との縦のつながりが薄い学生時代を克服する意味でも大きな収穫であったと思います。
今後も救急救命学科および卒業生の発展と活躍のため、このような機会を継続していきたいと考えておりますので、皆様のご理解ご協力の程宜しくお願い申し上げます。
尚、昨年11月14日(土)に救急救命士課程1~6期生まで約20数名が一同に会し、杏林救命士会(仮称)の設立準備委員会の委員が選出されました。会長は一期生の尾崎七恵氏(旧姓:若林七恵)、副会長は饗場幹朗氏が選出されました事をご報告致します。救急救命士課程では、卒業生のメーリングリストを作成中ですので、未登録の方は救急救命学科 救急救命学研究室 博士前期課程 菊川忠臣氏(救命士課程6期生)までご連絡下さい。

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■参加者の声

「卒後フォローアップ教育を受講して」

東京消防庁板橋消防署勤務
尾﨑七恵(救命士課程一期生)

杏林大学を卒業して早や6年、現在は消防職員として救急隊員、時には救急隊長として24時間体制で傷病者の救護にあたっています。杏林大学保健学部救急救命学科在学生の皆さんも、救急医学について学び、日々ご健勝のことと思います。
平成22年3月、八王子キャンパスにて卒後教育、平成21年4月に救急救命士がエピペン?の使用を認められたことに対する教育・実技講習が行われました。エピペン?使用の対象となるアナフィラキシーについては、救急現場においても食品や薬剤、運動誘発による例を目にすることがあります。中にはアナフィラキシーショックにまで至り、緊急を要する例も少なくありません。顔面蒼白で脈が弱くなっている傷病者を前に、現場で何度も冷や汗を流した症例の一つです。
学生の頃に戻った気分で、久しぶりに八王子キャンパスの坂を上り、懐かしの実習室で講義を受けさせて頂きました。当時、大学生として(時には意識レベルが落ちかけながら…)受けていた講義を、再度卒業生の立場として受けてみると「ああ、生体内ではこのような現象が起きているのだった、思い出した」と、面白いほど6年前の記憶が鮮明によみがえってきました。学生の頃に書き込んだテキストやノートは今でも消防署に持ち込んでいますが、やはり生の講義というものは、おぼろげなモノクロの記憶を新鮮なカラーなものにしてくれます。また、在学当時は救急救命士によるエピペンの使用は認められていなかったため、エピペン?について詳しく学ぶことができました。
救急救命士は救急需要の増加、日々変化している医療ニーズの対応により処置拡大や医療の高度化が求められています。卒業をして救急救命士になっても、学ぶことはまだまだ多く、新しい医療の知識やスキルを上げなければいけないと思わされる現場にも、たびたび直面します。また学問に限らず、人と人とのコミュニケーションについても同様です。卒業後に再度母校で学ぶ機会があり、たいへん良い勉強になりました。今後もまたこの様な機会で勉強会を行い、卒業生、そして在校生を交えてお互いに日々研鑽していけたらと思います。