卒後教育実施報告 -第4回 救急救命士-

 平成26年2月26日(水)、八王子キャンパスにおいて、救急救命士課程及び救急救命学科卒業生に対する第4回救急救命士卒後教育(杏林救命士会)が開催されました。今年から、講演はすべて卒業生にお願いし、参加者は在学生を合わせ41名と過去最多でした。杏林救命士会では、日々変化する医療現場に対応できる救急救命士の育成のため、卒業後もこうした教育を毎年行っています。

 第1部は東京消防庁の現役救急救命士による症例検討であり、搬送事例を交え、現場での脳卒中傷病者への対応や観察のポイント、注意点などを参加者とディスカッションしながら講演いただきました。今回学んだ知識は今後大いに現場での活動に活かされると思います。

 第2部は本学卒業生で救急救命学科教員である神山助教による救急救命士処置拡大の講義でした。4月より処置拡大されるブドウ糖溶液の投与や心肺停止前の輸液についての、わかりやすい最新の講義内容に、参加者の方から大変勉強になったという感想が多く寄せられました。

 第3部は杏林大学高度救命救急センター委託研修生で、東京消防庁の現役救急救命士に、「三次搬送後に治療差し控えとなった症例に関する検討」について講演いただきました。質疑応答を交え、救急医療の抱える問題点についてなど、盛んな討論を行いました。

 終了後にはささやかな懇親会が行われ、卒業生同士や、救急救命学科の先生方との再会を懐かしむ光景がみられました。また、卒業生に会いに来る在学生も多く、卒業生と在校生の交流も深まりました。救急救命学科では、毎年2月頃に卒後教育として杏林救命士会を開催する予定です。卒業生の皆様のご参加をお待ちしております。

文責:久米梢子(平成22年度救急救命学科卒業、救急救命学科助手) 


卒後教育の勉強会に参加して 

 私は平成24年3月に保健学部救急救命学科を卒業、学科2期生です。現在は岩手県北上地区消防組合に所属し、ポンプ隊員、救急隊員として勤務しています。

 今回の卒後教育では、処置範囲拡大、脳卒中についての講義と伺い参加しました。

 自身の現場経験でも脳卒中、低血糖発作を来たした傷病者を搬送した際に判断しにくい症例があり、卒後教育で学び現場に活かしたいと思い参加しました。

 処置範囲拡大の講義では、心肺停止前の静脈路確保及び輸液、低血糖発作症例へのブドウ糖液の投与等、レジュメを使いわかりやすく説明して頂きました。低血糖発作の症状の復習から実際どの様に処置をしていくのかイメージが持て、大変勉強になりました。

 脳卒中の講義では、実際の搬送例をディスカッション形式で検討していきました。医師、救急救命士が一緒になって症例検討をして、活発な意見交換が出来た事が魅力でした。地域により医療資源や交通事情も異なってくるので、各消防本部や医療機関で得た経験が多く発表されました。現場活動のヒントになる意見も多く提案され、とても有意義なディスカッションとなりました。

 委託研修生のDNR症例の治療差し控えの講義では、傷病者家族に冷静な判断をしてもらい、円滑なコミュニケーションがとれるようにする工夫が印象に残っています。

 この卒後教育では現役学生も参加していて良かったと思います。実際の救急現場での話を聞き、救急救命士とディスカッションする事で、大学で学んだ事を将来救急救命士になった時の現場活動、傷病者のために活かせるようになってもらいたいと思います。

最後に、卒後教育を開催するにあたって尽力して頂いた皆様に感謝申し上げます。