第2回 杏林大学ソーシャルワーク研究会
- 開催日時:2022年3月5日(土)10:00~12:20
- 会場(実施形態):Zoom
- 参加者:57名(卒業生13名、在学生39名、本学教員4名、その他1名)
- プログラム:
(1)開会の辞
(2)片桐朝美先生より挨拶
(3)講演会(10:05~12:10)
(4)閉会の辞、記念撮影(12:10~12:20)
講演会テーマ1:対人援助に必要な共通基盤
講師:米村美奈先生(淑徳大学教授)
米村先生が実際に経験された出来事を交えながら、対人援助の難しさや援助における視点についてそれぞれ体系化されたご解説と、援助者に必要な能力や姿勢・態度についてご講演いただきました。援助者の基盤となる視点として、「人は三つの次元(生物的次元、文化・社会的次元、存在の次元)を同時に生きており、どれが欠けても生きていけない」ということを挙げられました。この視点を持った上でどの次元に対しても支援をしていく姿勢が必要であり、他者へ関心を持ちどれだけわかろうとするか、そして援助者自身が健康であること等が重要であるとお話いただきました。
講演会テーマ2:実習の1コマから
講師:古川佳子先生(杏林大学教授)
古川先生からは、社会福祉養成の実習地と社会福祉士の資格取得後の福祉サービス提供の場での二つの出会いを中心に、福祉の魅力と困難さについてと、心理職の視点から見た福祉についてご講演いただきました。相手の意思や意図をくみ取ろうとお互いにしあうことで、言葉を介さずともコミュニケーションは図れる事。一方で、利用者の特性や抱えている困難さについての理解が深まっていなければ、福祉的なサービスを必要としている人にそれが届くことは困難であり、相手を理解しようとする姿勢と専門的知識はより良い支援において両輪であるとお話いただきました。
感想(卒業生)
・米村先生のお話で、この仕事の奥深さを感じました。専門知識を蓄積しながらも、一般的な生活感覚を忘れずに持つこと、一見両極端にあるものを併せ持って仕事をすることが多いように感じています。
・古川先生のお話を拝聴し、本当に支援が必要で苦しんでいる方が支援から漏れてしまう状況を悩ましく思う支援職は本当にたくさんいて、支援職自身も苦しみ一線から離れてしまうという方も少なからずいらっしゃるのだろうなと感じています。
・お二方の講演を聞き、対人援助職の大変さを痛感すると同時に、自分自身はこれからも進化し続けられるのではと希望も見えてきました。どっしり構えて安心感を与えられるような存在の援助者を目指して精進します。
感想(在校生)
・米村先生の援助者自身が道具であるという言葉にとても衝撃を受けました。対人援助職は情報のアップデートをし続けなければならないのだと学ぶことができました。
・私は、相手のことを思うあまり、自分のことを蔑ろにしてしまうことが多いので、土台として自分を大切にすることが絶対的に必要であると改めて認識することができた。
・古川先生の話を聴いて子どもの頃の対応が将来にも影響してしまうことが分かり、自己肯定感を高めることや、心が自然に動き出すのを支える場所や時間を子どものころから作ることなどが大切だと感じました。
・講演をしてくださった2人の先生方はもちろん、卒業生の方々や先輩方の貴重なお話も聴くことができたので、とても有意義な時間を過ごすことができました。